2年生前期第1課題は、「愛でる場」。どこで、いつ、何を、どのように愛でるのか。各自で考えて、その愛でる場を設計する、という課題。抽象的でもありますが、各自の想像力と感性、建築へと昇華させるプロセスを鍛えます。
岡田さんの作品。規則的ではない、有機的なものを愛でる。
ネットにシリコンで、重力によってつくられる場をつくっています。生物の臓器のよう。
秋保君の作品は、「スピードを愛でる」。固い外皮とは対照的な腕を型に取った内部空間が面白い。
上村君は「シンクロニシティ」。リゾームのようなコンセプトモデルを制作。大きくて力強い良い作業をしました。ベースから作りながら形を考えて組み立てているので、規則性がありそうで、実はない点が評価されました。
この真鍋さんの作品には驚き。「同じ開いているのに、包んでいる物によって、違和感がある。違和感を愛でる」として、携帯とアジの開きをサランラップで包んだ写真をコンセプトに。
で、このような造形物へと結びつけています。
指導された建築家の幸家先生、高松樹先生を、どのように指導したらいいのか、プロセスで惑わせた作品。
この物体が森に入ると乱反射して姿を消します。プレデターの建築版。コラージュの写真には人が何故かラジオ体操をしています。
この物体が川に入っても、反射で姿を消しながら、新しい表情として映し込んでいます。傑作だと感じました。
宮地さんの提案のコンセプトは、「虫が食べた軌跡を愛でる」。虫が食べた葉っぱを画像処理して、建築的なドローイングを制作。
そして空間は「むしがみるせかい」としての、マスク。不思議な造形に結びつけました。
和久田さんは、「光を愛でる」。アクリル棒に囲まれた空間。影とプリズム効果の乱反射で、光の綾・ランダムな濃密が生まれていて新鮮な空間。今までの建築家は誰1人試みていなかった実験。たぶん。
自分は何を愛でたいのか。=自分の興味関心はどこにあるのか。学生達は悩んだようです。そのうえで、それを愛でるための場をつくる。建築計画からは断じて生まれてこない設計のプロセスを経験したので、第2課題は建築的な作品に取り組みます。
しかし、変な作品がたくさんあって安心しました。セイカ建築学生の大事な特徴の1つは「変なことを考えることができる事」。
「変なこと」は「新しいこと」につながります。