1896年に建てられた、ガス貯蔵タンクを1999年から改装を始め、今でもまだ改装と増築が進行中のプロジェクト。タンクはレンガ造。
メインの入口。ウィーン市内から電車で30分の距離。レンガの色2種類をストライプに使い分けていて、産業施設というより、文化ホールのような雰囲気を既に持っていたタンクでした。
内部の機械やタンクを撤去して、商業、住居、イベントホールとして、リノベーション。内部には外部の雰囲気は残されてはいないデザイン方針。設計は、ジャン・ヌーベル、コープ・ヒンメルブラウ、他という顔ぶれ。
シリンダー形態の内部を商業にして、外周部にオフィスや住居を配置。つまり、外側のレンガ壁のみを残して、内部は大改装。中央部のガラス天井からは、上階部分が見える事になっています。
4棟のタンクを新たに連結させて、周囲にも新しい建築を建ててつなぎます。
連結する商業棟。外装はアクリル板でカラフル。アクリルカラフル作戦は、どの国に行っても見られる手法です。
タンクに寄り掛かるようにデザインされた、連結棟。おそらく、コープ・ヒンメルブラウ設計でしょうね。
このプロジェクトは100年少し前の建築の保存再生ですが、ある建築的価値を持つ古い建築の姿だけを保存して、内部と周囲を開発する手法は、もちろん日本でも行われています。中途半端に古い、形態・素材・色調などのデザインコードを配慮することなく、ここまですべてにおいて新旧のデザイン差があると、時代の差を楽しむ事ができます。
その中で大切な事は、その時代時代にデザインされる建築や空間の価値を、100年継続していくものとして、考えられているかどうかでしょう。言葉で言うことは簡単、実践は大変なデザイン作業。
Time Less Design。この言葉は北欧デザインを考える時によく使われる言葉。