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ウィーン市民が反対した建築

1アドルフ・ロース(1870-1933)設計の、ロースハウス。1910年。ロースも分離派の動きの時代の建築家ですが、彼は「装飾は原始人の刺青のようなもので、文化水準が低い事を示すもの」として、徹底的に装飾を排除しました。「装飾は罪悪である」というタイトルの著書も出しました。その彼の作品がこの建築。

今見ると一見、極めて普通の建築なのですが、建てられた当時は、あまりにも外観の装飾がないので、「眉のない建築」として、悪評をかいました。「眉のない」状態は、確かに無表情になりますが、それも表現の一つ。

敷地がハプスブルグ家の居城、王宮の広場の前。

P1150296 - コピーこの建築の真向かいにあるので、王宮に失礼だと。

2ロースは、この建築の右にあったミヒャエル教会(1220-)には配慮したそうです。

P1040048 - コピー外観はロマネスク様式らしく、簡素な表情です。内部は、

P1040045 - コピーロマネスク様式とゴシック様式が混合したデザイン。

3ポルティコ部分。柱は大理石。ロースは、装飾をつけない代わりに、仕上げ材料として、大理石や木材や鏡を多用した建築家。

41階には銀行が入っているので、写真撮影は禁止。外装・内装共に、石と木、金属を素直に使って素材感・質感は大事にしています。市民から大反対を受けたので、彼は「装飾と戦う新しい近代の建築家」 として、一躍有名になりました。多くの市民から反対を受けても、思想を曲げない勇気。

 

2

もう一つ。ウィーン中央貯蓄銀行ファボリーテン支店。1979年。建築家ギュンター・ドミニクの設計。僕は若い頃はドミニクの建築に魅かれていました。決して、脱構築主義の思想ではなく、生命・生物をテーマにして設計を行っている建築家です。

1確かに周囲の風景とは、まったくなじまないで、異化しています。

3骨の関節のような金属のファサードが、下層部分で口を開くように、徐々に変形していくデザイン。迫力あります。

6角もあるし。 側面の壁には上から赤いテープが落ちてきて血管が詰まったように絡まっています。

5鬼の仮面や、ナウシカのオウムを連想します。

7玄関の外部部分。内部は、血管やリンパ管や骨や、巨大な人間の手などをイメージする異様なインテリア空間。ここも写真は禁止です。

当時としての装飾を排除した表現と、人間・生命の表現。いずれも市民から反対を受けたものの、現実に建築されて今でも残っています。

表現は自由。でも思想のない表現は長くは続かなく、飽きられるのでそのうちに解体されます。

 

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. 建築が環境を破壊するものであることは疑いようもありません。 一方、ある目的のためには、空間が必要であることも事実です。 犠牲にしてまでつくられる空間とは、一体どうあるべきなのでしょうか。空間の「質」は、広さだけの尺度で判断することは出来ません。単なる箱をつくるのではなく、空間のかたちや光、音、雰囲気など、人々にとって、記憶に残るような魅力を持つものを残していきたいと考えます。 次世代から現在の環境を預かっている、という立場に立ち、 建築・インテリア・家具・まちづくりのデザインを行います。

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