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子どもデザイン教育

ヨーロッパで、子ども達・若者達への、デザイン建築教育を調べてきましたが、一番大きな収穫は、「Fantasy Design in Community」というプロジェクトを知った事。2009年から2011年にかけて行われた、EUが文化教育プログラムとして資金サポートを行い、①フィンランド ヘルシンキデザインミュージアム、②ベルギー ゲントデザインミュージアム、③デンマーク シーランド大学、④スペイン 国立芸術デザインミュージアム、という4つの組織が協働して行った、子ども・若者へのデザイン教育です。

各国では各組織が中心になって、ワークショップを行い、全体でシンポジウムと教育方法と内容を紹介する展覧会を2回、合宿などを行ってきました。その成果がこの資料です。

1左の冊子はプロジェクトのまとめで、20の実施報告レポートが記載。右は、ワークショプのワークシートで、デザイン教育の代表的な内容・方法を紹介した、A3サイズが15枚。資料は市販されていないので、ミュージアムで入手します。このプロジェクトの中心人物は、ヘルシンキデザインミュージアムで教育キュレーターの仕事をされている、Hanna Kapanenさん。デザイン教育学を学ばれた、 アアルト大学の卒業生。

このプロジェクトでは、使っていなかった学校の中庭をデザインして制作したり、公園をデザインして作ったり、若者の集会センター(公民館の若者版 こちらには地域ごとに存在します)のインテリアや庭、食堂の照明をデザインし制作したりするような、実践的な現実のデザイン現場の機会をつくって、子ども達が参加し、作り上げていくプロジェクトが沢山あることが特徴です。その他にも、もちろん、普通の色をつくったり、デザイン・シンキングを身に着けるようなワークショップもあり、合計で、32のワ-クショップが実施されました。EUを頭にして、各国のデザイン関係の組織、学校、地域の集会センターが、一緒に行った活動です。

ワークシートで、そのワークショップ内容を紹介します

2自分だけの「色」をつくって、名前をつけるワークショップ。

3自分で作った、「パターン」を作って、そのパターンを型紙として使用して、グラフィカルなデザイン。(床や壁、テキスタイルなどのパターンとして使用する)

4

「道具」を調べて、新しい道具のデザインを考えるワークショップ

5
暗い集会室の照明器具をデザインし、制作するワークショップ。

6

インテリア空間の中で、貧相な、あるいは機能的ではない、安全ではない場所を探して、その空間や家具のデザインを提案するワークショップ。

7

その物が誰にどのように使われる物なのか、デザインを行う基本である、マーケッティングの基礎を学ぶワークショップ。このワークショップには様々な立場の大人も参加。

8集会センターの古い壁面を、その街の特徴を考えて、デザインして実際に描くワークショップ。

9自分の住む街を調べて地図を描いて、どのような場所があればいいのか、ディスカッションを通して考えてデザインするワークショップ。

11街づくりのアイデアを考えるワークショップ。

などなど。デザインシンキング、イメージマップの作成、ワールドカフェのグループ学習方法、なども盛り込まれています。これら15枚のシートの裏は、共通していて、

10調査を行う、アイデアをスケッチする、アイデアを選択する、プロトタイプを考える、結果を発表する。という、デザイナーが日常の仕事で行っている事をそのまま項目として列記してあります。

大事な事は、現実社会のデザイン領域に、子ども達と若者が積極的に参加するにはどうしたら良いか、という事が大人の間で真剣に考えられ、組織間で協力し、実行されている事だと思いました。 プロジェクトタイトルの、「コミュニティの中での夢のあるデザイン」。この、「コミュニティの中で」という言葉がキーワードだと思います。より多くの子ども達にデザインする事の大切さと面白さを気づいてもらうためには、大人達で学ぶ場所をセットしたほうが、デザインに触れる機会が増える事は当然。

活動の目的は、「社会のデザイン・ポテンシャルを上げるために、子ども達にデザイン教育を行う事」明快です。

最後に資料の冒頭の言葉の締めくくり。

「この資料が、それぞれの地方のコミュニティで行われる、子ども達へのデザイン教育活動のための機能的な道具としてサポートできる事を願っています。」

Hanna Kapanenさん。よく、3年間の活動記録をまとめていただきました。参考になりました。

さて問題は、このような活動をどうやったら、わが社日本で(この言い方は多田道太郎先生がいつもされてたので)できるか、です。経済産業省か文部科学省か。もしもお知恵のある方がいらしたら、教えてください。

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. 建築が環境を破壊するものであることは疑いようもありません。 一方、ある目的のためには、空間が必要であることも事実です。 犠牲にしてまでつくられる空間とは、一体どうあるべきなのでしょうか。空間の「質」は、広さだけの尺度で判断することは出来ません。単なる箱をつくるのではなく、空間のかたちや光、音、雰囲気など、人々にとって、記憶に残るような魅力を持つものを残していきたいと考えます。 次世代から現在の環境を預かっている、という立場に立ち、 建築・インテリア・家具・まちづくりのデザインを行います。

子どもデザイン教育 への8件のフィードバック

  1. kurosawa says:

    はじめまして。
    最近子どもへのデザイン教育について関心があり、web検索してこちらのblogを見つけました。

    非常に興味があり、なんとか記事中の「Fantasy Design in Community」の資料を得たいのですが、
    日本で手に入れる手段はないものでしょうか。

    現地の大使館などに問い合わせしたら手に入るのでしょうか…

  2. school-a says:

    kurosawa さま。こんにちは。現地で制作発売しているデザインミュージムのハンナさんにコンタクトして送ってもらってもいいのですが、のんびりしている国なので、数か月かかると思います。もしも品質を気になさらないで、情報としてみたいということでしたら、僕の本をカラーコピーして、お送りしましょうか?葉山

  3. kurosawa says:

    ご返信ありがとうございます!

    もしお手数でありませんでしたら、コピーをいただけますと嬉しいです!
    他にも検索で探しているのですが、こちらの資料ほど求めている事に近いのははじめてです。

    送り先などはどのようにご連絡すればよろしいでしょうか?

    よろしくお願いいたします!

  4. satt says:

    もともとデザインの業界にいて、今は保育士として働きながら、
    保育士や教諭、それらを目指す学生などに向けたワークショップを主催している者です。

    すみません、私もこちらのレポートに大変興味があり、
    カラーコピーを頂けたらと思っておりますが、可能でしょうか?

    どうぞよろしくお願い致します。

  5. school-a says:

    sattさん。了解です。先ほどメールを送ったので、送付先を返信ください。いい教材だと思います。

  6. satt says:

    申し訳ありません。
    今、メールを確認したのですが、メッセージが届いていないみたいなのです…。
    ご面倒ではございますが、下記のアドレスに今一度お送り頂いても宜しいでしょうか?

    simplydesign@live.jp

    お手数をかけてしまい、申し訳ありません。
    どうぞよろしくお願い致します。

  7. Tanaka says:

    こんにちは。
    本業はデザインなのですが、「make道場」というモノづくりを通して発想力・創造力・実践力・コミュニケーション力を身に付けるワークショップ活動をしています。

    「こども+建築+ワークショップ」で検索していて、こちらのページに辿り着きました。
    このページ以外にも「積み木ワークショップ」や「レンガ積みワークショップ」など、自身も建築士なので、興味深く読ませていただきました。

    現在、ワークショッププログラムを再考中で「Fantasy Design in Community」がヒントになるのでは?と思いました。
    ※「Fantasy Design in Community」のサイトに飛んでみましたが、既に終了しているのですね。

    もしお願いできれば、冊子のコピーをお分けいただければ、と思うのですが..可能でしょうか?
    お手数をお掛けいたしますが、ご検討いただければ幸いです。

    よろしくお願いします。

  8. mikan says:

    こんにちは、現在大学の研究で
    「子供、デザイン、教育」というキーワードで
    調査を実施しております。
    研究のためにもし可能であれば、冊子のコピーを頂けたらと思うのですが、
    可能でしょうか?
    2013年ごろの記事かと思いますので、時期が遅れてのご依頼となるのですが
    ご確認いただけますと幸いです。
    よろしくお願い致します。

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