1230年から始められた工事でまずは60年間かけて。以降200年かけて造営。その後も2回の大規模な改修を経て今の聖堂はあります。フィンランドで唯一の中世のカテドラル教会。
サイドにある、サブの礼拝室。ここでもリブアーチ天井の意匠がきれいです。
石積みに、モルタル塗装。風合いが素敵で、おもわず撫でてみたくなります。近代以降に失った、手の痕跡の残る表現。でも、おそらくこれからの建築には復活することでしょう。「きれい」はすっきりした表現だけではありません。「美しい」には、「きれい」を含みますが、「きれい」には、「美しい」は含まれません。
この床石の下には、どんな部屋が隠されているのでしょうか。ワクワクします。
同じくサブの部屋。この部屋の天井は彩色仕上げ。ステンドガラスも天井、壁の色に合わせて。
文化財的価値のある、ステンドガラス。1枚に数億円の値打ちがあると思われます。お金で文化を買うものでもありませんが。
トゥルクはヘルシンキから電車やバスで2時間の距離ですが、1229年にローマ教皇が司教座を置いたことで始まった、フィンランドで最も古い街。1812年に首都がヘルシンキに移るまでは国の中心であった街ですが、実際に歩いてまわると本当に小さな街。この聖堂も、今から作れと言われてもまず無理な話。であれば、できるだけ維持して後世に残していくべき建築。日本にも無数の残していくべき建築はあります。それらの建築はすべてが公共建築ではないので、経済社会の中で残っていく「仕組み」をつくらなければならない、と思います。 (103)