こちらで、子ども達に「柔らかい建築」を説明する際に、よく紹介されていた展望台がありました。今まで、いくつか展望台をデザインしてきた (と言っても、すべて実現していませんが)、展望台評論家の僕としては、見ない訳にはいかないと思っていましたが、ようやく過日の日曜日に動物園に行くことができました。コルケアサーリ島という、島そのものが動物園になっている、コルケアサーリ・ヘルシンキ動物園。「島そのもの」といってもジェラシックパークのように完全独立、柵なし状態ではありません。
まず、逢ったのがトラ。こんなに大きかったっけ?と思うくらいの威風堂々さ。この彼に勝負したら敗けると思いました。間違いありません。
気候の変化に強いはずのラクダも、寒さのためにじっとして動かず。若い頃、僕はラクダみたい、と言われていたことがありました。目がラクダ目なことと、頑固だから。だから親近感を覚えます。
さて、ようやく展望台入口に到着。上に見えている鳥かごのような建築ですが、雪で上に登る事が危険なために通路はゲートで封鎖。(と書いてあると思いますが、フィン語・スウェーデン語なので読めない)。ようやく、ここまで来たのに、残念です。階段を除雪してくれたらいいのに・・・。
で、周囲に人がいなくなるまでしばらく待って、強行。雪の斜面を両手も使ってはい上がりました。50過ぎたおじさんが、よちよちと・・・。 卵型の木造格子でつくられた展望台。2002年。
決して、お金をたくさんかけている訳ではありません。むしろ学生の卒業制作のようなクオリティ。確かに、柔らかいですね。待っている間に空が晴れてきたので、登ってきて良かった、と安堵。
普通のエクスパンドメタルのメッシュの手すりの素っ気なさが、手づくり感が出ていて、逆にいいです。
メッシュ構造の場合には、ドアなどの開口部を補強することが必須。モンゴルのパオ(ゲル)でも工夫があります。ここでは、シンプルにあまり考えないで(?)、スチールのアングルバーでフレームを組んで、それに木を固定する作戦。やはり、卒業制作のようです。せめて、斜めの格子に合わせた三角形か台形の開口の形にすれば、もう少し点数は上がったことでしょう。それから、斜材木材接点の金物は普通のナットではなく、せめて化粧ナットにするとか、ですね。
上に登る階段も木造で。10年経過している割には、痛みは少ないと思います。木材の保護塗料を3年毎に塗られていると推察。
構造体である格子と基礎とのジョイントは、スチールプレートに普通のボルト・ナットでの緊結で終わり。構造計算大丈夫でしょうか。室内をつくる訳ではなく、屋根もないので建築許可が不要なのかもしれません。日本では、10㎡以上の面積があれば基礎を作った時点で、屋根がなくても建築確認申請が必要なはずだったと思います。 (今は違うかも。建築確認申請業務を離れて10年経つので ← 言い訳になりませんね。建築の教員なのだから!)
材料で木を使った木造の構築物であることと、柔らかいフォルムという点で、あちこちで紹介されてきた建造物でした。まあ、普通ではない形をしているので、子ども達は不思議な印象を受けて、楽しく登り降りすることでしょう。でも、アアルト大学建築学科で1年かけてつくっている、ウッド・プログラムの実物木造建築作品の方がレベルは高い、と思います。 (101)
成る程!動物園と建築。このような繋がりだったんですね。
ワクワクする建築。空間。それだけで人は笑顔になれますね。
先生のブログを拝読し、ワクワクを提供できる人であり続けたいと心に感じております!
ワクワク、いいですね!設計していて、ワクワクすること、たくさんあります。もちろん、それ以上に面倒なワクワクしないこともたくさんありますが。それはどの仕事でも同じこと。