school architects blog
セイナヨキの教会

3ヘルシンキから電車で3時間の街のセイナヨキ。この街はアアルトにとって関わりの深い街です。教会の設計競技は1952年(54歳)で一等で、設計・工事を1958-60年。その後この教会の増築になる教区センターを1963-66年。他に、この教会を含んだ町役場、図書館、行政施設、劇場が集結する都市センターの設計競技で一等を取ったのが、1960年。町役場は1960-1965年、図書館は1963-1965年。劇場完成は、没後の1987年。(初期構想から20年後) アルヴァ・アアルトのファンの人にとっては聖地ともいえるでしょう。

2教会へのアプローチ。階段に導かれます。

1登ったら、正面に教会、右手に後に加えられた地区センター。正面の壁上部にある9本の縦スリットは、窓ではなく、デザイン的な飾り。9本、5個の壁付け照明、3個に分けられた開口部分。  塔は65メートルの高さで、電車からも遠方からも見えるランドマークになっています。(地図を忘れて来てしまいましたが、塔を目指して無事に到着し、駅への帰りに迷い子に!)

1銅のエントランスサッシ。上部には縦格子窓。

2玄関ホールは壁が白ペンキ、建具は木、床は手作りの跡を残す大判レンガタイル。テラコッタの表情に釉薬を塗って焼いた感じ、と言えば雰囲気はわかるでしょうか。

4玄関上部の窓の格子寸法は、日本のセンスに近い感じがします。床の凹凸がわかります。

3天井は、なんと木桟の上に、レンガ敷き(貼れないからこの言い方をしましたが)。こんな情報はどこにも書いてありません。誰も気にして見上げないのかも。寸法は床レンガタイルとほぼ同じですが、仕上げを素焼きのままで使っています。確かに木では弱いし、木に色を塗るのは嫌だし・・・という苦肉の選択かと、その融通無碍さに感心し、かつ斬新さに驚きました。

5ホールから礼拝室を見ます。席数はアアルト教会の中で、最大の1400席。

000左右対称形。両サイドからの光、波打つ天井の軸線の中、奥行きを感じます。それもそのはず、平面は台形型、天井高さも祭壇に向かって下がっている、パースペクティブを持っているから。

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とても美しい空間です。

柱は壁から離して独立。その隙間を通路に。

波打つ天井は、音の反射板の役割を果たしています。  機能的には。

 

 

9入口見返し。2階には、一部はみ出したパイプオルガン。

11祭壇。両サイドの斜め固定ルーバーからの光は、祭壇奥の曲面の壁を照らしています。

10日本の床の間の、「洞床(ほらどこ)」デザインと同じ効果で、壁と天井がつながっているので、奥行きをなくします。(空間がぼかされて背面の焦点を結ばないので、さらに奥にある感じ)

13この部分の、壁柱と天井のかたちの見事な調和。

下の写真のように、壁柱はデザイン上、中央の壁を上部で両サイドから挟んだ壁3枚で構成。 天井の曲面は、柱に絡む部分でもう1枚を下に重ねて。柱と天井という、単に2つの要素をぶつけて終わり、ではなく、3つ目の、「別物だけど、その仲間」のようにデザインしたものを、間にはさむデザイン。天井の下に付けられた仲間の板にしても、その曲面板と天井自体の曲面の間をキチンと浮かして、安っぽいデザインに見えないように。・・・・・見事としかいいようがありませんね。今でもとても新鮮で、形の作法を踏まえた教科書のようなグッドデザインだと思います。

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15祭壇の左の、お話する大理石の台に少しだけ台形状にテーパーが付いています。その上の白い塊は、空間前方のアクセント。普通はアアルトは、このあたりの場所につける、このような変なかたちの裏にはスポット照明などの設備を仕込むのですが、この教会には何もなし。不思議です。

18椅子+聖書置き+カバン掛け。集成材ですが、見飽きないデザインです。

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最後は左が、後部のパイプオルガン2階バルコニーの軒裏。目の粗い布仕上げ。たぶん吸音を考慮して。右はペンダントライト詳細。「5」本のメッキされた筒。もちろん、目透し格子付。

これほど大きな空間になると、空間の質がボケるのが普通。でもアアルトは、そうは見えないように、白色で統一した印象を与えながら、天井の変化でリズムをつけ、空間のかたちの変化で奥行を出し、目が行く場所=柱と天井、壁と天井部分で、凝ってみたり、ぼかしてみたりして、飽きのこない、不思議で気持ちのいい空間をつくっていました。心から拍手です。 (97)

 

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. 建築が環境を破壊するものであることは疑いようもありません。 一方、ある目的のためには、空間が必要であることも事実です。 犠牲にしてまでつくられる空間とは、一体どうあるべきなのでしょうか。空間の「質」は、広さだけの尺度で判断することは出来ません。単なる箱をつくるのではなく、空間のかたちや光、音、雰囲気など、人々にとって、記憶に残るような魅力を持つものを残していきたいと考えます。 次世代から現在の環境を預かっている、という立場に立ち、 建築・インテリア・家具・まちづくりのデザインを行います。

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